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有田昌史「ものづくり●▲■(まるさんかくしかく)」

② 音楽と造形

ファブリック・デザインの魅力のひとつに、平面的に表されたパターンの立体的/空間的な展開があげられます。そして、織りによる格子状の模様にも、プリントによる連続柄にも、どこかミニマルな現代音楽か民族音楽を彷彿とさせるものがあります。
まだ文字も紙も発明されていなかった太古の時代、既にパターンを施された布地が、歌や踊りや語りとともに存在していたらしく、世界各地をフィールドワークしてみても、その足跡を辿ることができます。ファブリック特有の美しい紋様に、どこか音楽のような反復する心地よさを感じる人が多いのはそのせいでしょうか。そしてアブストラクトな表現を好むファブリックアーティストの多くが、音楽的な要素から新しい着想を得ているといいます。つまり、四次元的な着想を二次元に映し出し、三次元のプロダクトを介して、その生活に四次元的なリズムを添える。作り手と受け手の循環のなかに、ガムランやテクノ~ミニマル・ミュージックのようにループする、感覚的なコミュニケーションを見ることができるのです。
目に見えず、手にも触れられない、しかし確実に私達の心をつかみ魅了してやまない音楽。そのリズムやメロディーから得られたインスピレーションにフォルムや色彩を与え、家具や衣類に展開し、私たちの暮らしに音楽的な次元を提供する……。ものづくりの源泉にある“形を超えたものを感受して形を添える”といった真髄は意外と身近なところにあるのかもしれません。

有田昌史(ありた・まさふみ) 
1966年出雲生まれ。テキスタイル図案作家。名古屋芸術大学客員教授。女子美術大学芸術学部講師。孔版印刷研究所/IID・旧校長室アトリエを拠点に作家活動、教育活動、企業の企画開発を行う。