今月の特集

今月の「学校」
音楽配信サイト「ototoy」が「学校」を作ったワケ

 

「オトトイの学校」って、知ってますか?

高音質音楽ダウンロードサイトとして、音楽ファンから支持を集める「ototoy」が作ってしまった、音楽好きのための学校です。ネットでの仕事を生業とする音楽配信サイトが、どうしてリアルな「学校」をやろうと考えたのか。その理由について、ototoyの総括の久木元さんに聞いてみました。

 

「現場」を感じられる場を作りたかった

――2012年の1月に学校が始まってから、もうすぐ1周年なんですね。それにしても、なぜ音楽配信サイトが学校を作ったんですか?

もともと、ototoyのスタッフは、仕事以外でもバンド活動をしているような人ばかり。校長の飯田仁一郎を含め、みんな現場が大好きなんです。でも、僕らのやっている音楽配信という行為は、音源をサイトにアップして、ユーザーに勝手にDLしてもらうという、どちらかというと一方通行な仕事。それに対して、飯田が「もっとライブ感のある、現場に近いことがしたい!」と言い出したんですよね。

――なんでそれが、「学校」だったんですか?

単にライブやイベントを打つだけなら、これまでにも僕らは何回もやってきているんです。でも、“ただ音楽を聴かせる”だけじゃなく、もっと“音楽を使って”なにかをしたい、生み出したいと思ったんですよね。そのなにかが、僕らのなかでは「音楽を使ってなにかを学んでもらう」という学校だったんです。

――具体的なシステムを教えて下さい。

現在13講座あるんですが、大半の授業は6か月単位で全6回。なかには3か月で6回のものもありますが、だいたい月1回ペースで3時間。料金は1コマあたり3500円前後ですね。ユーザーはototoyのコアユーザーの人もいれば、学校が先で後からototoyの存在を知るなんて人もいます。年齢層も小学生から高齢の方までバラバラですよ。

――それにしても、講義内容はユニークなものが多いですよね。ゲーム・ミュージックというかなり専門的なものから、ジャケ弁を作ろうなんてものまで……。

オトトイの授業の特徴は、講師陣が魅力的な人ばかりだという点ですね。音楽関連の授業がある学校は東京にも多いと思うんですが、ゲーム・ミュージックのサカモト教授や弾語りの日比谷カタンさん、ジャケ弁のオバッチさんなど、講師たち自身が第一線で活躍している人たちばかり。通常、カルチャースクールなんかの授業だと「ギター講座」「ボイストレーニング講座」とか、カリキュラム先行のものが多いと思うんですが、うちの場合は、「その先生にしかできない、日本唯一の授業」を売りにしているんです。

生徒はみんなスタッフ予備軍

――確かに第一線のプロに教えてもらえる場は貴重ですね。 

あと、オトトイのもうひとつの強みといえば、受講後にototoyでその成果をアウトプットする場があるということですかね。例えば、ベテラン音楽ライターの岡村詩野さんの音楽ライター講座。この授業は、昨年の1月の開校当初からずっと授業をオトトイでやってもらっているんですが、そのなかからいい音楽ライターさんに育つ生徒が何人もいるわけです。そうした人たちには、アウトプットの場として、ototoyのサイトのほうで原稿を書いてもらう。また、いまだと「頭脳警察」の公式カメラマンを務める松葉杖のカメラマンであるシギー吉田のライヴカメラマン講座。ここでも、もし優秀な生徒さんがいれば、その人にototoyでカメラマンとして働いてもらうことだってありうるわけですよね。

――卒業生に場を提供できる。それは「オトトイ」という音楽メディアをすでに持っているからこその、強みですね。

ボイトレ講座や弾語り講座の受講生のなかで、もしも自分の才能を開花させた人がいれば、僕らが知り合いの事務所さんに紹介させて、デビューさせることだってできる。また、ototoy主催でなにかのコンテストを開いて、そのグランプリはデビューさせるなんてことをしてもいいわけです。一過性ではなく、「ototoy」と「オトトイの学校」と「生徒」たちが、うまく循環していけるようなシステムが作れるといいなと思っています。

OTOTOY
「ototoy」は、高音質音楽DLサイト。DRMフリーで様々なインディーズバンドの音源のプロモーション、販売を行っている。坂本龍一や渋谷慶一郎など、有名アーティストのライブ音源の販売など、ototoyの限定販売音源も数多い。なお、音源の販売と同時に、アーティストのインタビュー記事や企画記事も掲載しており、「読む・聴く・買う」を楽しめるメディアとしても知られている。

 

オトトイの学校には
こんな授業があるんです。

オバッチ先生のジャケ弁講座 ~ジャケ弁の半分は愛情でできている~

海苔やカマボコといった食材を使ってCDのジャケットを再現するお弁当、通称・ジャケ弁。話題のジャケ弁の作り方を、ジャケ弁界の第一人者であるオバッチ氏が伝授!ちなみに、開催場所はIIDです。

岡村詩野音楽ライター講座

ベテラン音楽ライターの岡村詩野氏が講師を勤める、オトトイの学校きっての大人気授業。プロのライターを目指す人、音楽への造詣を深めたい人など、音楽好きなら受講してみて損はないかも。

O T O T O Yアイドル研究室

現役アイドルグループBiSが、アイドル研究家の南波一海氏と繰り広げる本格的アイドル講座。彼女たちが専門家の指導のもと、いかに本物のアイドルとして成長できるかを間近で眺められます。

良原リエの みんなで楽しむトイ・ミュージック

アコーディオンやトイ・ピアノの鍵盤奏者、さらにはトイ楽器のコレクターでもある良原リエ氏。そんな彼女が講師を勤めるワークショップ形式のトイ・ミュージック講座です。親子参加もOK!

シギー吉田のライヴ写真講座 ~二回怒られたらやめろ!~

ある時は厳しく。ある時は優しく。和太鼓集団「鼓童」、「頭脳警察」の公式カメラマンであるシギー吉田氏がライヴ写真講座を開講。激しく動くアーティストの一瞬を音楽と共に切り取る方法を伝授します!

サカモト教授の8 b i t 学園 ~ゲーム・ミュージック波乱万丈~

あらゆるゲーム音楽を完全耳コピする「ファミコンの中の人」・サカモト教授。テレビでも活躍中の彼が、ゲーム・ミュージックの魅力をレクチャー。ちなみに、坂本龍一氏ではありませんのでご注意を。

 

日比谷カタン氏の授業「日比谷カタン六弦似非弾き語りクリニック」に潜入してみた!

日比谷カタン、人生初講師について語る。

2011年の10月オトトイで授業を持つまでは、僕は人になにか物を教えるということをしたことはありませんでした。正直、僕がなにかを人に教えるという大層なことができるだろうかとも考えたのですが、音楽には天才とそうじゃない人がいて、僕は明らかに後者だろうと。天才じゃないから、音楽を作るテクニックだけは腐るほど持ってるし、ほかの人たちが音楽をやることを目指しながらも「なにができないのか」「どうしてできないのか」に躓いてしまうポイントもよくわかる。この授業は単なるギターのテクニックを覚えたい人じゃなくて、ギターを使った弾語りをしたい人、弾語りを通してなにかを表現したい人たちのために設置しました。僕が彼らと対話しながら授業を進めつつ、一人ひとりに合った授業を模索している途中です。

PM 2:00

まずは音楽理論の説明から。「音楽家には音楽スキル(Mスキル)と快楽的的フェチズムスキル(Xスキル)が必要」
「自分の声、言いたいこと、キャラに合った音楽を見つけろ」など、カタン節がスタート。

PM 3:15
生徒たちの話し方の癖や特徴を意識するべく、ニュース記事を朗読。ゆっくり正確に読む人もいれば、機械的に素早く読み上げる人、感情を込めて読む人などさまざま。それぞれの個性が浮き彫りに。

PM4:30
実技として、即興でギターセッション開始前に、カタン氏によるコードの説明が。言われた通りにやると、初心者からバンドマンまで、生徒たちの力量はさまざまながらも、なんだか形になるからスゴイ。

PM7:00
その後も、個人のギターの悩みなどに個人指導する日比谷氏。気が付けば、授業時間を軽く2時間オーバー。相当、熱血指導です。

日比谷カタン
シンガーソングライター。弾き語りによる独特の表現世界を多くのミュージシャンから高く評価されてきた。国内だけでなく海外での評価も高く、欧州ツアーなども決行。