今月の特集

今月の「ものづくり」
野村友里さんがオープンしたrestaurant “eatrip” を訪ねる

取材・文 小林英治 藤村はるな 写真 在本彌生

今年9月にIID 世田谷ものづくり学校を卒業した野村友里さんが主宰するフードクリエイティブチーム「eatrip」が、新たに原宿にレストランをオープンしました。これまでの様々な「出会いの旅」を通して広がった世界が、レストランという場でどのように展開されていくのか。原宿の路地裏にある入り口から狭いスロープを抜けると、メインストリートの喧騒から遠く離れた素敵な空間が広がっていました。

料理を作るときは環境ってとても大事なんです

―― 新たにレストランをオープンすることになった経緯を教えてください。

野村 一番のきっかけは「自分の場所があったらいいな」と思ったことからでした。これまでも「料理」を軸としたことに携わってきて、実際に料理を作るだけでなく、映画を撮らせてもらったりと(『eatrip』2009年)、料理を媒介に本当にいろんな道が開けていったんです。でも、一度立ち止まって考えてみたら、自分は映画作家を目指しているわけではなく、やっぱり毎日の生き方として料理がやりたいと改めて強く思ったんです。これまで「eatrip」を通じていろいろな人に会うことができて、一人で飛びだったつもりだったのに、結果的には海の向こう側にまで家族ができてしまったような気がします(笑)。そして、そうした仲間たちと、本当の意味で「胃袋を分かち合いたい」と思ったんです。彼らに日本の料理も食べて欲しいし、日本の文化も体感して欲しい。そういうことができる「場」を持ちたいと思うようになりました。

―― この場所は、原宿とは思えないほど緑に囲まれて不思議な空間ですね。

野村 料理を作るときって、実は環境がすごく大事なんです。空が見えて、風を感じることができて、緑や木、土があること。IIDでも窓から眺める広い空が好きでした。ここ何年かはカリフォルニアに行くことも多くて、当初はアメリカでお店をするのもいいなと思ったんです。そんな折、偶然にこの物件に出会って、そこから一気に動き始めて9月末にオープンに至りました。本当に何があるかわからないですよね(笑)。4人のスタッフは、本当に昔から一緒にいて信頼できる仲間たちです。何かしたいことがあっても、やっぱり一人では全部できないですから、改めて人とのつながりの大切さを実感します。

メニューはその日に入った食材を見ながら決める

―― ここではどんな料理を出されているんでしょうか?

野村 よく聞かれるんですが、お店で出している料理は、「○○料理」というカテゴリー分けができないものが多いんです。とにかく「地元のモノを使う」というのがプライオリティで、その素材の一番美味しい引き出し方はどの調理法かというのを、その日に入った食材を見ながら考えていきます。ただ、「地元」といっても東京では手に入るものが限られているので、食材は国産で調味料もなるべく手作り。野菜は鎌倉と長崎から、ハーブは鹿児島の無農薬を、魚は三重から仕入れています。お肉も知り合いが鹿児島の桜島で養豚所を紹介してくれたので、いまはそこから入荷しようかと考え中です。ビオワインも友人のワイナリーのもので、どれも出会いから培ったネットワークが活きていますね。

―― お客さんの反応はどうですか? 私たちが食べにきたときも満席でしたね。

野村 今はディナーだけの営業ですが、おかげさまで連日連夜いろんな方がいらしてくださいます。客層によってお店の雰囲気が変わるので、その空気に触れることが面白いですよ。

―― それぞれのお客さんに「eatrip」のイメージがしっかりあって、きっと素敵な時間を過ごせると確信しているんでしょうね。まだオープンして間もないですが、今後お店でやっていきたいことを教えてください。

野村 これまでも特に「お店を持つ」ということを終着点にしたことはないんです。何かを始めることは何でも大変なことですが、それを維持するということは更に大変なこと。働いている人が楽しくないと、料理にはそれがすぐ現れてお客さんに伝わってしまいます。ですので、スタッフはもちろん自分にとっても刺激のある環境作りをしていきたいと思っています。たとえば、海外の仲間のお店のシェフたちと交換留学みたいな形で行き来してみたり。私も経験してきましたが、常に新鮮な気持ちでいろんなことに挑戦できるので、お店にもいいフィードバックが得られるんじゃないかと思います。あとは、これからのシーズンに仲間が作ったブーケやパンを売ってみたり、アート作品を飾ってみたり、蜜蜂の巣箱を庭に置いてもみたいです。構想はたくさんあるので、焦らずにじっくりと形にしていきたいですね。


restaurant “eatrip”
東京都渋谷区神宮前6-31-10-1F
TEL:03-3409-4002
営業時間:18:00~23:00
(ご予約をお勧めします)
定休日:毎週月曜日、第2&第4火曜日


野村友里(のむら・ゆり) 
フードディレクター・eatrip主宰。ケータリングフードの演出や料理教室、雑誌の連載やラジオ出演を通し、食の可能性を伝えている。映画『eatrip』では初監督をつとめ、レシピ本『eatlip gift』も好評発売中。Chez Panisseのシェフと共に、食とアートの体験イベントも開催するなど、海外のシェフや食文化との交流も積極的に行っている。9月末、restaurant “eatrip”を原宿にオープン。www.babajiji.com

  


the little gift shop
レストランの片隅にあるフラワーショップ、リトルのアトリエで、お花やお菓子、アートパン、お店でも好評の自家製ナッツミソソースなどのオリジナルギフトを用意しています。それぞれの商品単体の扱いだけでなく、お花とお菓子、お花とアートパンといった組合せでのギフトも提案。

◎THE LITTEL SHOP OF FLOWERS:プリザーブドフラワーブーケ/生花アレンジ/ギフトボックス/プリザーブドアクセサリー/Dried flower ceiling lamp(S)
◎eatrip:アップルパイ(30cm、12cm)、ピスタチオソース、ナッツミソソース など

12月8日(土)スタート
17:00~21:00(予定) 月&火曜 定休
http://www.thelittleshopofflowers.jp