06/18

workshop

こわがることをおぼえるために旅に出た若者/泥 @ IID

 こんにちは、演出のアイスカハラです。

 僕は最近、朝早くに起きることが多いのですが、朝早くに起きるようになって気づいたことがあります。
それはかつてのほどほどに遅く起きていたくりかえしよりも、いまの朝早くに起きるくりかえしのほうが、「くりかえしている感覚」がつよいのです。
 これは一体どういうことでしょうか?
(それを感じている僕の意識が変質したから?それとも早起きをすることで単に身体が健康になったから?)
そんなことをかんがえながら作品をつくっています。

 上演の前半では、役者のカズマ君と大谷さんのつくったテクストと一緒に、遅延と言表行為からコメディの別の可能性について、後半では、戯曲は演出を規定することが可能かについて考えます。(アイスカハラ、5/18)

 

 僕は、この作品で「タスク(縛り)」をもちいた演技をしています。

 演技に「縛り」をあたえるということは、不自然なことにおもえるかもしれませんが、普段の生活のなかにも「縛り」というものは確かに存在していて、例えば、目上の人には敬語をつかわなければならず、その敬語のなかでも尊敬語、謙譲語、丁寧語をつかい分けなければなりません。
それらを必然的にもちいることになる就職活動は、「「会社の求める人材」という架空のキャラクターに規定された(縛られた)言葉(テクスト)」という「縛り」をもちいた演劇といえるかもしれませんし、他にも、家族と話すとき、見知らぬ人と話すときなど、様々な「縛り」のなかで僕らはコミュニケーションをとらざるを得ません。また、言葉の縛りだけでなく、行動の縛りもあるでしょう。

 この作品には、あらゆるところにタスクがあります。
皆さんもまた、「僕を観なければならない」というタスクにかかっているのかもしれません。(オノカズマ、6/1)

 

なんていうか、こう、「どうしても口に出さずにはいられない言葉」ってのがこの世にはあったりするわけで、まあ、それの代表格が「チャコペンシル」だったり「ヤコペッティ」だったりする訳です。

是非一度、声に出して頂きたい。

ヤコペッティ。

どうだろう。

なんとも言えない口触りの良さっていうか、あぁ、今、俺、舌、回したなぁ感が満たされるというか、なんかちっちゃいグルーヴ感あんなぁってなりませんか?

なるんすよ。

ただここで問題なのは、いきなり単語だけ発声する奴は、ヤバい奴にしか見えないということです。

じゃあ、どうしたらヤバい奴だと思われないだろうか、というところからこの劇を作りました。
皆さんそれぞれのヤコペッティを見つけて頂ければ幸いです。(大谷皿屋敷、5/28)

 

 マームとジプシーに『てんとてん』という作品があって、(僕はその作品がマームの最高傑作だとおもっているのですが、)その初演にはパラフィクションの側面がありました。(ここでの「パラフィクション」というのは、ひとまず、「解釈の複数性があるテクスト(戯曲)」ということにしておきます。)

 僕の去年の夏の作品(前作『イシュタルの冥界下り/ドゥムジとエンキムドゥ』)や今回の作品ではリアリティを担保するものの境界――僕はこれを「リアリティ・ライン」とよんでいます。――に可変性があります。前作では、それ(リアリティを担保するもの)がテクスト→身体/モノ→方法/コンセプトと変化し、テクストだけでなくそれぞれが別の物語を記述しつつ(解釈の複数性を担保しつつ)、それらを接続してひとつの物語として読むこともできるようになっていました。
 
 今回の作品ではそれが一方向的なものではなく、行ったり戻ったり、寄り道したりします。個別の物語のフラグメントとして読んでいただいても、ひとつのstory・dramaとして読んでいただいても面白いかもしれません。(アイスカハラ、6/7)

ある日の稽古場を覗くと、そこには必死にタスクを乗りこなそうとするオノさんがいました。
その真剣な姿は、今夜夢に出てきてほしくないナンバーワンでした。

その晩の夢のラスト8秒のところで、案の定、広い野原のなかで遠くに立っているオノさんが出てきました。
でも、目が覚めて少し考えたあと、この夢をみれて逆に良かったっておもいました。
そんな体験をみなさんと共有したいです。(宇都宮みどり、6/9)

 この作品には僕の好きなからだやふるまいを元にしたさまざまの断片がはいっています。
それはたとえば、手塚夏子さんや山縣太一さんの影響を受けるからだだったり、飴屋法水さんやマームとジプシーの視点がなくなるからだだったり、最近のチェルフィッチュやナカゴーや野鳩のあえてのからだだったりします。
(山下残さんや最近の新聞家のからだは好きだけれど今回ははいっていません。)
他にもさまざまのからだやふるまいにたいするリスペクトがはいっています。

 お椀は食卓にある時が、一番美しいのでしょうか?
逆さになった山型で、ホワイトキューブにあるほうが本当は美しいのかもしれません。
 カズマ君の身体から、フォークを目に突き立てられた弟の姿やみずみずしいプラムのイメージが立ち上がったり、SUPERCARの「STORYWRITER」が聴こえてきたらいいなとおもいます。(アイスカハラ、6/11)

 
 
 
  

□主催プロフィール
アイスカハラ(演出)
演出、1988年生、九州出身

2015/8/5 『イシュタルの冥界下り/ドゥムジとエンキムドゥ』(演出)
ARTS CHIYODA 3331 B105

大谷皿屋敷(作、出演)
劇作家、劇団「地蔵中毒」(主宰)、1989年生、北海道出身

2016/1/16 劇団「地蔵中毒」『母乳袋、ついに破れる』(作、演出)
新井薬師スペシャルカラーズ
2015/7/11、12 劇団「地蔵中毒」『僕の街に巨大日本人形が建った日』(作、演出)
あとりえ昼行灯
2014/10/25 劇団「地蔵中毒」『牛殺し!獄中おばあちゃんの空中分解カポエラー』(作、演出)
新井薬師スペシャルカラーズ
2012 第3回全国学生落語選手権 てんしき杯優勝

オノカズマ(出演)
役者、排気口(出演)、1991年生、新潟出身

2016/1/31 日本のラジオ『紙風船』(出演)
新大久保HOBOHOBO
2015/12/28、29 排気口『それでも往くだろうけど』(出演)
新宿ゴールデン街劇場
2015/8/11〜16 排気口『泳ぎ出す前の短い歴史』(出演)
吉祥寺gallery re:tail
2014/12/17〜21 排気口『ナンブシモーゼン、そっと到来』(出演)
渋谷LE DECO 5
2014/9/6 排気口『降雨、遠くを見よ』(出演)
ARTS CHIYODA 3331コミュニティスペース
(千代田芸術祭2014「おどりのば」出品作)

  

□トークゲスト
布施琳太郎(ゲスト)
美術家、1994年生、東京出身

2016/5/13~17 外道ノスゝメ「生存指南」
ナオナカムラ
2016/4/22~24 純粋詩展「still life」(個展)
参加[sanka]
2016/3/12、13、19、20 「布施なき世界で」(個展)
上野桜木一帯
2016/2/27、28 「コラプスイブ」
豊島区役所旧庁舎
2015/12/18~26 「空中にて」
ARTS CHIYODA 3331 メインギャラリー

立川がじら(ゲスト)
落語家、1986年生、群馬出身