世田谷ものづくり学校

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2020 / 5 / 12(火)

イベントレポート | 買えないマスクはつくっちゃえ!みんマスファクトリーのマスクづくり徹底解剖 | IID Innovators File vol.13

トークイベント「IID Innovator’s File」とは

新しい領域のビジネスを開拓したり、新しい場づくりや社会課題に挑戦している「イノベーター」をトークゲストとして招き、これまでの経緯、現在の活動、今後の展望について語ってもらうIID主催トークイベントです。

オンラインイベントに移行して3回目となったこのトークイベント。今回は総勢140名余りのクリエイター有志による不織布マスク国内製造プロジェクトがテーマ。

イベント前文

かつては薬局でも、コンビニでも、駅のキオスクでもどこでも買えたマスク。
今や見つけるのはひと苦労です。
ドラッグストアにマスクを求める行列ができたり、政府が布マスクの支給を決めたり。こんなにマスクを意識する日々がやってくるとは、いったい誰が予想したでしょうか?
そんな中、「買えないマスクはつくっちゃえばいいじゃん!」とばかりに、使い捨て用不織布マスクの国内製造ラインをガチでつくっちゃおうという、クリエイターの有志たちがいます。

今回はその代表である「船長」こと、矢野 大輔さんにそのプロジェクト=「みんマスファクトリー」の全貌と今後の展望をお話いただきます。
そして今回もですが、当日はオンライン飲み会のつもりで、あなたのお気に入りの飲食店からテイクアウトをした上でご参加いただくことをオススメします。

買えないマスクは作ればいい

イベント冒頭は、この国内マスク製造プロジェクト「みんマスファクトリー」船長の矢野 大輔さんが一体何者で、なぜ今マスク製造なのか?という疑問からスタート。

1983年12月 東京生まれ
2006年3月 武蔵野美術大学空間演出デザイン学科卒
2006年4月 Lighting Planners Associates.Inc 入社。建築照明デザインについて学ぶ
2011年4月 Tokyo Lighting Design設立。
2016年 DSA日本空間デザイン賞にて金賞受賞 他受賞多数
2020年4月 新型コロナウィルス感染症の早期解決のために、マスク製造をすることに。有志が集まり「みんマスファクトリ―」が立ち上がった。

彼の仕事は、なんとまったくマスクとは関係ない「照明デザイナー」という仕事。しかもその舞台は東京ミッドタウンやTEDxTokyo、仕事相手はスタジオジブリ、落合陽一さんなど、第一線の仕事で活躍しているクリエイターです。
そんな彼が一体なぜマスクを製造するプロジェクトを立ち上げることになったのか?誰もが不思議に思う疑問をぶつけると、こんな答えが返ってきました。

「コロナでイベント関連の仕事がいくつか飛んだ後、安心して仕事ができて、手作りで自分の分だけとかじゃなく、自分の周囲の人たちも救うにはどうしたらいいかなと考えてた。そうしたら買えないマスクはつくっちゃえば? という発想が浮かびました」

仕事柄中国から色々と輸入していたことから、彼はすぐに中国の某通販サイトで検索をかけ、そこでマスク製造機を見つけてこう思ったそうです。

「なんだ、マスクつくれるじゃん」

そんな気持ちでFacebook上に投稿したところ、あれよあれよという間に沢山のいいねとシェアが。それをきっかけに彼の周囲に集まった沢山のクリエイター達に背中を押され、引くに引けなくなった矢野さんは、いよいよプロジェクトを本格稼働させることに。
そこからはSlack(チャットツール)やZoom(オンライン会議アプリ)を通して企画内容をオープンにしたところ、徐々に集まってきたクリエイターとマスク製造に必要な技術を持った専門家達が繋がりながら情報交換をし、「みんマスファクトリー」は雪だるま式に大きくなりながら転がりだした、というのがこれまでの経緯。

ちなみにものづくり学校と矢野さんのご縁は、みんマスファクトリーのマスク製造場所を探していた矢野さんの知人が「ものづくり学校ならなんとかしてくれるのでは」という助言をくれたところから始まりました。

そこからはものづくり学校が彼に紹介した群馬の精密部品加工の島田工業株式会社とSMT株式会社が二つ返事で快諾してくれ、現在では工事もスタート。この日はSMT株式会社の今井さんが製造工場をZoomで中継してくれました。

みんなに届け、あんしんマスク

イベント中盤では、矢野さんがみんマスファクトリーの現況を紹介。
5/2から始まったKibidangoでのクラウドファンディングによる資金集めも順調で、イベント後の5/17には調達金額を大幅に上回る2,743,500円を集めて終了しました。

そのマスク、ほんとうに大丈夫?

イベント後半は「マスク」の品質に関するリテラシーについて。
このマスク製造プロジェクトの話をすると、よく返ってくるのが「最近安いマスクが出回ってきてない?」「マスクつくってる会社、増えたよね?」というツッコミ。
そんな声に対し、みんマスファクトリー船長 矢野さんは「そのマスク、ほんとうに大丈夫?」と問いかけます。現在は民間でも大量に海外からマスクを輸入できるようになりましたが、クリーン環境で作られたかどうかもわからない、性能表示もしっかりされていないマスクが出回りつつあります。

そしてマスクの種類には家庭用マスク、医療用マスク、産業用マスクなどの種類がありますが、そのマスクのフィルター性能の基準については、おそらくほとんどの人が知らずに使っているはず。

ちなみにCOVID-19の原因となるウィルスは0.1㎛のサイズと言われていますが、今回みんマスファクトリーが国内で製造する予定のみんマスフィルター性能はBFE99、VFE99、PFE99(予定)となりますのでなんとバクテリアやウィルスを99%もカットすることができます。

単にマスクを国内製造するだけでなく、こういったマスクに関する知識や使い方を一般の人たちに広く伝えていくような広報活動も今後していきたい、と矢野さんは語ります。

このところ新コロナの新規感染者数が減ってきているとはいえ、いつ第二波が来るかわかりません。
矢野さんを始めとしたクリエイターたちが安心して活動していくためにも、このプロジェクトをできる限り続けるべきだと思っているとか。

クラウドファンディング終了から一夜明けたイベント後の5/18日現在では、中国から輸入したマスク製造機が群馬の製造工場についに到着。

今年の6月以降にみんマスプロジェクト製のマスクが国内に流通し始めた時、日本のマスクに対する安全の意識とリテラシーがどう変わっていくのか。今後しっかりと見届けたいと思います。

▲矢野さんと島田工業株式会社の島田会長。後ろにあるのが中國から届いたばかりのマスク製造機の部品たち。

オンラインイベントに方向転換したこのIIDのトークイベントも、はや3回目。
引き続き社会課題や世の中のニーズに合わせたテーマを取り上げながら、この状況の中でもオンラインで楽しく語り合える場を提供していきます。

ぜひ今後もIIDのスケジュールページとPeatixページを定期的にご覧ください。

▲イベント最後のスクリーンショット。

リンク

買えないマスクはつくっちゃえ!みんマスファクトリーのマスクづくり徹底解剖 | IID Innovators File vol.13

開催日
:2020年5月12日 (火)
開催時間
:18:00 〜 20:00
参加費
:1,000円(このイベント売上の一部はみんマスプロジェクトに寄付されます)
主催
:IID 世田谷ものづくり学校
協力
:みんマスプロジェクト
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