世田谷ものづくり学校

REPORT

2020 / 7 / 7(火)

イベントレポート | 世界のプラスチックごみを減らす19歳。Z世代の起業「HAYAMI」の草ストロー | IID Innovator’s File vol.15

トークイベント「IID Innovator’s File」とは

新しい領域のビジネスを開拓したり、新しい場づくりや社会課題に挑戦している「イノベーター」をトークゲストとして招き、これまでの経緯、現在の活動、今後の展望について語ってもらうIID主催トークイベントです。

七夕の夜に開催したオンライントークイベントのテーマは、プラスチックごみ問題に挑む19才の現役農大2年生が立ち上げた完全自然由来の草ストローブランドでした。

イベント前文(今回の課題)

飲食店でもコンビニでも何気なく使うストローですが、そのほとんどがプラスチックの使い捨て。もちろんストローだけでなく、私達が出すゴミの中にはたくさんのプラスチックが含まれます。

ちなみに日本の人口1人あたりのプラスチック容器包装の廃棄量は、米国に次いで多く世界2位だそうです。
そして回収されたプラスチックごみの79%が埋立、あるいは海洋等へ投棄されていて、現状のペースでは、2050年までに120億トン以上のプラスチックが埋立・自然投棄されることになるという調査報告もあります。

※出所)Geyer, R., Jambeck, J. R., & Law, K. L. (2017). Production, use, and fate of all plastics ever made. Science advances, 3(7), e1700782.

今回のIIDイノベーターズファイルは、ベトナム産カヤツリグサ科の植物を使ったストローを輸入販売する完全生分解性の草ストローブランド「HAYAMI」を立ち上げた大久保夏斗さんをオンラインでお迎えして、起業の経緯や今後の展開などをお伺いしたいと思います。

コロナ禍真っ只中の起業

もともとネットニュース経由で環境問題に関心のあった大久保夏斗さん。その起業のきっかけは、バックパッカーだったお兄さんがベトナム行きの飛行機の中で偶然隣に座ったベトナムの方から紹介された草ストロー。

その原料であるベトナム産カヤツリグサ科の植物「レピロニア」はもともと民芸品などの材料で、ベトナムの農村部で栽培されている植物。最近はその過剰栽培がベトナムの社会課題にもなっていたそうです。

コロナ禍の影響により大学授業のない期間中、大久保さんはお兄さんは、これを草ストローとして販売することで日本のプラスチックごみを減らすことに貢献し、日本の環境に対する意識を変えたいと思ったとか。
その後すぐにお兄さんと草ストローを紹介してくれた現地の方と共同で合同会社を立ち上げ、草ストロー輸入の準備をスタート。
そこで最初の課題となったのは、日本の厳しい衛生基準。

これに関しては食品分析センターや植物防疫研究所に分析を依頼。ベトナムで熱殺菌とUV殺菌を施した草ストローからは、ヒ素やホルムアルデヒド、大腸菌群などいずれも無検出。晴れて日本に初回1万本を輸入できる運びとなりました。

それ以後はコロナ禍により対面での営業が十分にできないにも関わらず、地道なメール中心の営業努力により起業から1ヶ月で49店舗の導入、5万本販売の実績を達成。

ここでどのような店舗に導入が決まったのかを大久保さんに聞いてみると、オーガニック系のカフェや牧場併設の店舗など、環境や健康に配慮した店舗を中心に、北海道から九州まで取り扱い先が広がっているとか。

草ストローのメリットとは?

価格は従来のプラスチックストローの約10倍の草ストローですが、なぜこれだけ支持されたのでしょうか?その辺りを詳しく伺ってみました。

大久保さん「特徴としては、プラスチックストローの代用として使われ始めている紙ストローに比べて丈夫で無味無臭、またステンレスや竹のストローと比べると安価で完全生分解性であるという点です。
また市場に一部出回り始めている生分解性のプラスチックストローに比べて、製造時のCO2排出量や自然環境での分解速度の双方からみても、環境に対する負荷が低いと言えます。その他にもこの草ストロー事業を行うにあたって、ベトナムでの雇用を生み出す途上国支援や、適正な価格で買い取るフェアトレードの要素を重視しています

草ストローブランド「HAYAMI」のこれから

そして最後に今後の展開について伺うと、大久保さんからはこんな頼もしい展望が。

大久保さん「使用済みの草ストローを収集して堆肥や家畜の飼料として再利用し、その農家の収穫物や畜産業からの出荷物を飲食店に提供する、というような循環をつくりたいんです」

「そして2020年中には100店舗導入を達成し、大規模な音楽フェスや地域のお祭りなどの大規模な場での利用を目指したいです。またSNSなどでアイディア募集をしていましたが、同じ原料での草ストロー以外の商品展開も検討中です。そしてこの草ストロー事業をきっかけに若い世代の環境に対する意識も変えていきたい

事業的な拡大と、社会課題解決の両面のビジョンを兼ね備えた19才の経営者の発言に、当日のイベント視聴者も皆共感していました。

この草ストロー事業は今注目されているSDGsなどの世界的な課題に沿っていることもあり、これからより多くの人から共感を集めながら事業として成長していくことが予想されます。

コロナ禍の中で立ち上がったこの草ストローブランドHAYAMIが、日本における若い世代の環境意識を変えていくことを応援しながら、僕自身も消費者の1人として環境に対してできることを一つ一つ行動していこうと思ったこの日のイベントでした。

そんなオンラインイベントでしたが、以下のIID公式Youtubeチャンネルからフル視聴することができます。興味を持った方はぜひ以下から視聴をどうぞ。

リンク

世界のプラスチックごみを減らす19歳。Z世代の起業「HAYAMI」の草ストロー | IID Innovator’s File vol.15

開催日
:2020年7月7日 (火)
開催時間
:18:00 〜 19:30
参加費
:500円
主催
:IID 世田谷ものづくり学校
協力
:合同会社HAYAMI
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