世田谷ものづくり学校

読みもの

2021 / 4 / 27

イベントレポート |NOSIGNER 太刀川さんから学ぶ、これからを生き残る為の「進化思考」| IID Innovators File vol.21

こんにちは。ものづくり学校の企画ディレクター 石塚です。
コロナ禍の中でも、新しい道を切り開く人を紹介するイベントシリーズ「IID Innovators File」はオンラインにてコツコツと続いています。

少し時間が経過してしまったのですが、今回は4月末に開催したNOSIGNER代表 太刀川さんの新刊「進化思考」を取り上げた出版記念イベントをレポートしたいと思います。

イベントシリーズ「IID Innovators File」コンセプト

新領域のビジネスを開拓したり、新しい場づくり・社会課題解決などに挑戦している「イノベーター」をトークゲストとして招き、これまでの経緯、現在の活動、今後の展望について語ってもらうカジュアルなトークイベントです。

今回のテーマ(課題)

この先行き不透明で変化の多い時代に生き残るためには、何よりも創造性が大切だと言われています。

その創造性を生み出す為には、どのような発想の仕組みが必要なのでしょうか?

そして私たちが変化に適応しイノベーションを起こす為に必要な思考法とは、一体どんなものでしょうか?


災害時に必要な知恵や知識を共有するためのデータベース「OLIVE」、そして感染症のパンデミックから命を守るために、世界中から集められた知恵をまとめる共同編集webサイト「PANDAID(パンドエイド)」の立ち上げなど、さまざまなソーシャルイノベーションに取り組むデザイン集団 NOSIGNER代表 太刀川英輔さんによる著書「進化思考」(今年4/21発刊)では、「あなたが進化思考を実践しながら身につけられる」ことを目指しています。

<以下、「進化思考」著書紹介より抜粋>

★進化思考──それは、生物の進化のように二つのプロセス(変異と適応)を繰り返すことで、本来だれの中にもある創造性を発揮する思考法。
私たちは道具の発明を通して、擬似的な「進化」を達成してきた。そこには必ず、私たちの本質的な願いが込められている。

小さいものを見たいから目を進化させるために顕微鏡を。

寒さをしのぎたいから皮膚を進化させるために服を。

速く移動したいから足を進化させるために乗り物を。

子孫に残したいから記憶力を進化させるために本を…。

40億年にわたり変異と適応を繰り返してきた生物や自然を学ぶことで、創造性の本質を見出し、体系化したのが『進化思考』である。

「進化思考」っていったいなんだろう?

私たちがモノをつくるときに必要な「創造力」とか「クリエイティビティ」と呼ばれている能力。
その定義はなかなか曖昧なもの。

デザインやものづくりに関わったことがある方は「どうやったら身につくの?」「いったいどこで学べるの?」と悩んだことがある方もいるかと思います。

この日のゲストである太刀川さんによると、まさにその疑問のヒントになるのがこの「進化思考」という考え方。

つまり、モノの「デザイン」や「創造」の過程を、生物の進化する過程のようなものと捉えることで、「創造すること」は特別な能力をもった誰かの特権ではなく、誰でも創造的な考え方について学べるようになる、ということ。

その具体的な説明がこの本には書いてあるんです、ということをイベント冒頭で太刀川さんが説明してくれました。

このメッセージは、ものづくりやデザインを志す全ての人にとって本当に心強い言葉ですよね!
その具体的な内容については、ぜひ太刀川さんの著書をじっくりと読んでいただきたいと思います。

この日のQ&Aをほんの少しだけ紹介

今回も40名ほどの参加者に参加していただき、イベント中には色々なやりとりがあったのですが、今回参加できなかった方のためにその一部を紹介します。

参加者からの質問
「『変異』と『適応』の概念の間を往復し、それらが一致したときに「生き残るコンセプト」が自然発生すると本の466ページに書かれていました。その際の「本質的な願い」という表現の意図について、できればお話してもらえますか?」

太刀川さん
「『変異』はエラー、つまりランダムで新しい手段。それに対して『適応』は、手段の良さを判断して選択するための観点になります。
適応的な観点でモノの進化や系統を振り返ると、そこに自然発生しうる、ありたい関係性が自然と掘り起こされてくる。その状況に潜在的な願いが埋まっている、と思えることも。
そこに埋まっている自然発生的な『願い』を掘り起こしていくこと、その文脈を掴むためにひたすら探求すること。
そういった適応的目的にかなっているプロダクトは時代に応援されるし、変異的に新しくクレイジーな強さは大きな差分を生み出す。つまり「めちゃくちゃ本質的で、めちゃくちゃ新しいもの」は時代を変える力がある。

そういった意味で「自然発生的な(本質的な)願い」という表現を使っています」

イベントを終えて

紹介した問いに対する太刀川さんの答えの中で、なにかを創造する際には根本的な文脈を考え、そこに埋まっている「自然発生的な願い」を掘り起こすことの大切さが語られていました。

それはまるでイタリアの偉大な芸術家であり彫刻家でもあるミケランジェロの「全て大理石の塊の中には予め像が内包されているのだ。彫刻家の仕事はそれを発見する事」という言葉に共通するものを感じます。

本を読む前は「進化」というスケールの大きいテーマに少し圧倒されていた僕も、太刀川さんの丁寧な説明と、そして創造思考を実現するワークショップ事例について聞いているうちに、つい「自分もやってみよう」という気に自然となれてしまうのが不思議でした。

もしこのレポートを読んで太刀川さんの著書「進化思考」が気になった方、ぜひ一度読んで彼の考え方にふれてみることをおススメします。

NOSIGNER 太刀川さんから学ぶ、これからを生き残る為の「進化思考」| IID Innovators File vol.21

開催日
:2021年4月27日(火)
開催方法
:オンライン(アプリケーション「Zoom」を使用)
主催
:IID 世田谷ものづくり学校
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