世田谷ものづくり学校

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2021 / 10 / 7

イベントレポート |まちを面白くする、これからの公共空間とランドスケープデザイン | IID Innovators File vol.22

ものづくり学校の企画ディレクター 石塚です。久しぶりのイベント開催だったので、約3ヶ月ぶりのイベントレポートになってしまいました。

新しい道を切り開く人の頭の中をみんなで覗いてみるイベントシリーズ「IID Innovators File」は、緊急事態宣言が明けてからもオンラインにてコツコツと続いています。

今回は10/7に開催したイベント「まちを面白くする、これからの公共空間とランドスケープデザイン」をレポートしたいと思います。

イベントシリーズ「IID Innovators File」コンセプト

新領域のビジネスを開拓したり、新しい場づくり・社会課題解決などに挑戦している「イノベーター」をトークゲストとして招き、これまでの経緯、現在の活動、今後の展望について語ってもらうカジュアルなトークイベントです。

今回のテーマ(課題)

コロナ禍以降のリモートワークの普及は、ベッドタウンの昼間人口を増やし、住んでいる人々の地域へ関心を高めることにもつながるなど、私たちの暮らしに変化を与えました。

暮らしと働くことの境界が曖昧になり、地域への関心が高まることで、これからは住んでいる地域のつながりが、豊かな暮らしをする上でより重要な要素になってきています。

それに伴って、街に存在する地域にひらかれた公園や商業施設、公道などの地域の公共空間は、これからの時代に合わせてどのように形を変えていくのでしょうか?

今回のテーマは、 近年よく聞かれるようになった「ランドスケープデザイン」というキーワード。
ランドスケープはもともと「景色や風景」という意味ですが、建築およびデザインの分野では、都市における広場や公園などの公共空間のデザインのことを指します。

この日は日本で活躍しているランドスケープアーキテクトの1人であり、南町田グランベリーパークやコートヤードHIROOでのランドスケープ設計など、さまざまな地域の開かれた空間をデザインしてきた東京農業大学の福岡孝則准教授にお話を伺いながら、その疑問を紐解いていきます。
南町田グランベリーパーク内の自然の中でくつろぐ人々の様子
南町田グランベリーパーク内では、商業施設と公有地である鶴間公園が滑らかに接続されている

この日のトークゲストは?

1974年神奈川県生まれ。
ペンシルバニア大学芸術系大学院ランドスケープ専攻修了後、
米国・ドイツのコンサルタントのPMとして中東・アジアやオーストラリアのランドスケープ、都市デザインプロジェクトを担当。
神戸大学持続的住環境創成講座 特命准教授を経て、2017年4月より現職。

神奈川県都市計画審議会委員、鎌倉市深沢地区まちづくり方針具現化検討委員、国土交通省グリーンインフラ官民連携プラットフォーム企画広報部会長、世田谷区豪雨対策行動計画の有識者検討会委員、神戸市東遊園地再整備検討委員ほかを担当。
東京農業大学 地域環境科学部 造園科学科 准教授 福岡孝則さん

作品にコートヤードHIROO〈グッドデザイン賞〉、南町田グランベリーパーク(国土交通大臣賞:都市景観大賞、緑の都市賞)ほか、著書に「Livable City(住みやすい都市)をつくる」、「海外で建築を仕事にする2-都市・ランドスケープ編」など。
グリーンインフラやオープンスペースに関する論考多数。

<専門分野>ランドスケープ、都市デザイン

この日のイベントのQ&Aをシェア

当日は、これまで福岡さんが日本各地で携わったまちづくりに関する実績を紹介していただきながら話を進行していきました。

ちなみに今回のレポートでは、特別に参加者と福岡さんのQ&Aを公開しちゃいます。

Q1:まちを面白くためには商業空間のような広小路や地域のプレーヤーも必要だと思うが、そのあたりに関する考えを聞かせてください。

公園と広小路では違うスキルやアプローチが必要になるかと思います。
地域の商店街などへのアプローチとしては、どこまで関わってもらうかとか、合意形成の過程を重視しています。単に外部からの社会実験を行なっていくだけではなく、地域のプレーヤーの継続的な関わりを引き出すことが大事ではないでしょうか。

Q2:行政側としてはまちづくりプロジェクトに関する内部的なリソースを集めることの難しさを感じます。外部から見た場合、そういう場合の課題解決方法などはありますでしょうか?

プロジェクトをやっている側がワクワクして楽しくなるようなプロジェクトにしていくことが大事だと思っています。
プロジェクトの過程では様々な軋轢があったりと大変な場合もありますが、行政や街の人、運営者、企画者などが入り混じったワークショップの実施を通して、徐々にその関係性が変わっていくのを見るのはとても楽しいこと。なので一人一人が自分の得意分野を活かしてやれることを見つけていくことが大事ではないでしょうか?

Q3:先日、機会があってある団地の視察に参加しました。その団地の公園は30〜40年前は子供のための空間だったが、今は高齢者がほとんどで、果たして従来的な遊具が必要なのか、という疑問がでました。住む人が移り変わる中で、求められるランドスケープも変わってくるのだと思います。そう言ったランドスケープは世代とともにどう変わっていけるのでしょうか?

今、そういう団地が日本全国にあります。
そこで住民アンケートなどをとってみると、そこに住んでいる方の今行われている活動と潜在的なニーズは意外とギャップがあったりします。
そういった潜在的なインサイト(人を動かす隠れた心理)を引き出して、そこに住んでいる人が関わりやすい屋外空間を再編集していくことはとてもやりがいがあるプロジェクトになると思います。

以上、まちづくり側と住民との意思疎通をオープンにしながらの合意形成の重要さと、住む人のインサイトを引き出すことが重要、という福岡さんの答えがとても印象的なQ&Aでした。

またこんな形で皆さんの疑問に答えるオンラインイベントを企画していきますので、ぜひものづくり学校のイベントページをチェックしてみてください。

まちを面白くする、これからの公共空間とランドスケープデザイン | IID Innovators File vol.22

開催日
:2021年10月7日(火)
開催方法
:オンライン(アプリケーション「Zoom」を使用)
主催
:IID 世田谷ものづくり学校
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