世田谷ものづくり学校

REPORT

世田谷ものづくり企業探訪 vol.8 | 株式会社ALL YOURS(世田谷区池尻)

あたりまえは変えられる。アクションを起こし続ける株式会社オールユアーズの洋服づくり

取材記事「世田谷ものづくり企業探訪」は、ものづくり学校の事務局スタッフが世田谷区内の様々なエリアに根付く「ものづくり」の場へ訪問し、事業者のインタビューをおこない「世田谷のものづくり」の特徴やそれに関わる人々を発信していくシリーズです。

 

取材・文:石塚和人(IID 事務局)

世田谷の池尻大橋駅から、国道246号の「旧道」とよばれる裏路地を三宿方面に7〜8分ほど歩いた所にある、大きな白いのれんが目印の彼らの店舗。IID 世田谷ものづくり学校からも徒歩1分以内というご近所さんでもあります。
今回の「世田谷ものづくり企業探訪 Vol.8」は、創業時から「あたりまえをあたりまえにしない」というステイトメントをかかげ、機能性のある生地を特徴とした洋服づくりや、24ヶ月連続クラウドファンディングなどで常に注目され続ける、株式会社オールユアーズ共同代表の木村さんと原さんに、その洋服づくりに関するお話と、これまでとこれからのALL YOURSについてを伺いました。
石塚(以下石):お久しぶりです。そういえば最近のALL YOURSさんといえば、50回洗っても効果が持続する抗菌・消臭マスク「キテテコマスク」販売開始のプレスリリースがYahoo!ニュース上などでも話題になってましたね。

原さん(以下敬称略):おかげさまでいろんな取材や問合せをいただいて。取材が取材を呼んで、その循環がちょうど4周目くらいに入ったところです 笑


石:そんなお忙しい中恐縮ですが、さっそく創業の経緯や2人の出会いのあたりからお話を聞かせてください。

原:遡ること13年か14年前くらいですかね。株式会社ライトオンというアパレル小売の会社に関わっている時で。ぼくが20代後半で、木村が25才前後でした。

石:原さんの方が少し年上なんですね。

原:はい。ぼくは外部の業務委託として商品開発を担当していて、木村はバイヤーでした。その頃ぼくはドクターデニムこと本澤裕治さんの元でアシスタントとして修行中だったんです。

石:2人の最初の仕事はなんだったんでしょうか?

原:たしか日本製のジーンズを大量に売る仕事でした。

木村(以下敬称略&短縮で「木」): ジャニーズのタレントさんをCMに起用した仕事だったような。

原:そうだ。彼が着るデニムシリーズをつくる仕事で。木村はたしかトップスのバイヤーだったんだ。デニムのカバーオールをつくることになったんで、僕が関わることになったんです。

石:日本製っていうと岡山とか?

原:ライトオンの規模だと、1都道府県とか1企業じゃさばき切れない。初回オーダー二十ウン万本とかですし。なので製造場所は全国でした。当時はそういう案件のものづくりを徹底的にやったので、今の僕があるわけです。当時は「何を売るか」というのを2人で考えてました。

石:なるほど。じゃあ2人は開発の決定権も持っていた?

原:そうですね。2人でかなりの部分を決めてました。なので波風も立ちましたけど 笑

石:それはどういう部分で? 話せる範囲でいいですが。

原:ファッション業界って「流行り」を需要と捉えているんです。けど現場の意見を聞いていくと、実際はそうではなくて。

石:2人の耳には店舗の人たちからそういう意見が入ってくる?

原: だから開発担当は現場が売りやすくて喋りたくなる商品をつくることが義務だし、その需要のある商品の仕入れを的確に決めるのがバイヤーであるべき。

石:聞いてるとそれが当たり前な気がします。

原:「流行っているもの」だと、売るタイミングとしてはもう遅い。そうなると値段で戦うことになる。それが嫌で。

石:二番煎じってことですもんね。

原:日本製のジーパンを大量に作った時、思ったより売れへんなってなって、2人で店に見に行ったら、買う側から見ると絶対買わないような状態で置いてある。「日本製のジーパン、イケてます」しか言ってない。本当は「この商品を買ったらあなたはこう変わります」って言わなきゃならないのに。それで「俺たち間違ってたな」って。そこが今の株式会社オールユアーズの根っこの部分。

石:なるほど。

▲向かって左が木村代表、中央が原代表。

原:けどライトオンではそういう意見は通用しにくかった。やはりトレンドのものを安く、という方針が強くて。

石:そんな会社との方針のズレがある中で、自分たちのやりたいことを試せたんでしょうか?

原:かなり好き勝手に商品化してましたよ 笑 それからは店舗で置かれる状態を想像しながら商品開発してましたから。

石:その売り上げの結果は?

原:めちゃくちゃ売れました。でも会社の方針は変わらない。

石:そうなんですね。大手は売上至上主義かと思ってました。売れても方針って変わらないんですね。

原:僕らは上からあまり可愛がられてませんでしたしね 笑

石:なんとなくですが創業の動機の部分は見えてきました。

原:その後、実は創業までに1社挟んでます。ジーンズの大手製造卸の会社に関わりました。そこでライトオンで2人がやってきた勝ちパターンが通用するのか思いっきりやってみようと思って。
百貨店への卸営業だと「ジーパン買ってください」って商品だけ持っていくのが普通。僕たちは店舗でのセッティングやビジュアル、サイズ展開、商品の打ち出し方まで一緒に提案したんです。そうしたら商品単価が1,000円高くなって、売上も倍増。

石:素晴らしすぎる。取引先の反応は?

原:社長には直接会ってないのでわかりませんが、相手のバイヤーからしたらやらざるを得ない。

木:あとね、向こうからしたら楽なんですよ。だって営業の会議で「こうやって売ります」って僕たちが考えたことを言うだけでいいから。意外と売り方とかを考えたくない人が多い。

石:右から左で売上も単価も上がるわけだし、こんな楽なことはない。

原:定価より1,000円以上安く売るようなスーパーにも商品を持って行っても売れました。つまり値段じゃないってことなんです。結局、2人がつくった一個の商品で、年間10億の売上をつくった。

石:その卸会社の社長からしたら、二人を離したくないでしょうね。

原:おかげで僕はいまだに仲良くしてます 笑

石:ところでその会社に入った時には、二人のやり方を試すだけ試したら創業しよう、というような方向だったんでしょうか?

原:まだそういうのはなかった。木村がライトオンをやめてどうしようかってなってる時にそこの常務が声かけてくれただけで。

石:そうだったんですね。

原:その10億をつくって「もうやることないよな」って二人で話した後、僕一人で商品開発を始めました。今ALL YOURSで出しているような機能性のある商品です。「ワンスイング」とか「ハイキックジーンズ」とか。

▲撥水の加工をかけたコットン100%のパーカー「ONE SWING PARKA(ワン スイング パーカ)」。
▲高い伸縮性があるデニム生地を使用して作られた「HIGH KICK JEANS(ハイ キック ジーンズ)」。

石:この時点ではまだ株式会社オールユアーズとして創業はしていない?

原:してませんでした。原宿で一人で展示会をしてたのが、たしか2013年の後半くらいだったかな。場所を貸してくれる人が居たんですよ。後々恩人になる投資家の方なんですけど。そして木村が展示会にきてくれた時に、その商品を売りたいって言ってくれたのが始まり。

石:そのくだりは初めて聞いた気がします。

原:「機能性で売る」って今でこそ一般的ですが、当時のアパレル業界では一般的じゃなかったんです。機能性はファッションの邪魔だとされてた。機能性があると「なんかダサい」みたいな。

石:根本的な質問ですが、ファッション業界はなぜそうなったんでしょう?

原:ファッションの目的がもとは西洋文化では「着飾る」ことが目的だったから。かたや作業着は違う。そもそもリーバイスは作業着なんですよ。

石:そうか。ジーンズは作業着からファッションになったわけですね。

原:僕たちはそっちの方がカッコいいと思った。

石:ちなみに原さんは何年くらい一人でやってたんですか?

原:2〜3年くらいですかね。今の株式会社オールユアーズの一部のスタッフにもすでに手伝ってもらってました。

石:株式会社オールユアーズの原型となる商品とメンバーがもう先に居たんですね。そこに後から木村さんが入ってきた。

原:そう。そのために会社をつくったんです。

石:木村さんが入って最初にやったのは何だったんでしょう?

木:なんだろう? 何もやってない気がする 笑

原:会社のビジョンづくりですよ。

石:一番重要なところじゃないですか! 笑

原:株式会社オールユアーズのWEBサイトに書いてある「あたりまえをあたりまえにしない」というステイトメントをつくるのに、半年以上の期間をかけました。
展示会の話の時にもでましたが、お世話になっている投資家がいて「君達は多分成功するけど、成功した後も戻る場所となる言葉をつくりなさい」というアドバイスをもらいました。なのでステートメントが完成するまで、会社の登記もしなかったんですよ。


石:メンター的存在がいたんですね。そういえばALL YOURSさんが発信する言葉は、読むたびに毎回心に刺さります。

原:そういえばライトオン時代から、商品説明の時には伝わりやすい言葉しか使ってない。平仮名ばっかりで横文字を使ってないのは、子供でもわかるし伝わりやすいから。

24ヶ月連続クラウドファンディングへの挑戦

石:そしていよいよステイトメントができて、2015年に起業したわけですよね。

原:そうです。最初にMakuakeさんでクラウドファンディング(以下クラファン)をすることにになるんですが、それもメンターのアドバイスがきっかけ。当時はまだファッション業界ではクラファンを成功させている人がいなかった。

木村:そのメンターに教えてもらってはじめてクラファンを知った。

石:教えてもらってすぐやってみる気になりましたか?

原:はい。とりあえずやってみようかって。最初は「ワンスイング」という撥水性のあるパーカーだったんですけど。どうしていいのかわからなくて、Makuakeの担当者をめちゃくちゃ巻き込みました 笑

石:巻き込み力ですね。

原:初回のクラファンでは400万の支援を集めました。その後1年ほどあけてから、2017年に「キテテコ」っていうTシャツのクラファンをやりました。
そしてその同じ年の5月にCAMPFIREさんに移って24ヶ月連続のクラファンがスタートしたわけです。

▲CAMPFIREにて実施した「着たくないのに、毎日着てしまう」プロジェクトが、ファッションカテゴリ国内クラウドファンディング支援金額No.1を獲得。

石:僕はちょうどそのころお2人にお会いした気がします。ちなみに24ヶ月連続クラファンをやる前と後で、何か変わったことはありましたか?

原:いろいろ明確になりましたよ。

木:そこから僕らのスタイルが出てきた。

原:クラファンを連続することで、自分たちの強みとか、何を提供すればいいのか、どう伝えればいいのか、とかがわかってきた。クラファン上でずっとトライ&エラーしまくってるわけですから。

石:独立してライトオン時代や、原さん1人の時代とは何か違うことはありましたか?

原:僕はものをつくることしかできないし、そのつくったものを言葉で可視化して伝えるのが木村の仕事。そこはずっと変わっていません。

石:なるほど。これは木村さんに聞きたいんですが、木村さんの役割である、会社としての考え方や商品の特徴を言葉で伝えるのに必要な資質はどこで培ったのでしょうか?

木:べつに特別なスキルとかがあるわけじゃないんですよね。たぶん友達が少なくて音楽を聞いたり本ばっかり読んでたからじゃないですかね。

石:わかったようなわからないような 笑

木:どこかで修行したわけでもないし、ライター経験があるわけでもなし。でも基本は原と二人で考えてますよ。

原:まず生地ありきでのキーコンセプトがあるんですが、生地をまず木村に見せる。そこから二人で(言葉の)殴り合いをして、その中で出てきたものから広げていきますね。

木:なんなんでしょうね笑。だいたい最初に生地を見た時に売り方は浮かびますけど。どうやって考えているのかと言われると難しい。

石:抽象化したプロセスやノウハウみたいなものはないということですか?

木:よくたとえ話をします。例えば桃太郎の話にたとえれば大体みんなわかりますよね? そういう風に洋服を身につけた時の体験を言葉でわかりやすくする。
たとえば、150年前にジーンズをつくったヤコブ・デイビスが現代に生きてたら、あんな硬く重いジーンズを発表するのか、とか。もしスティーブ・ジョブスが生きていたら、今アイボリーカラーのMacを発表するのか、とか。そういうこと。

原:モノって、つくられても使われないと意味がない。使われるってことは必要だってこと。ファッションってよく懐古主義になるんです。〇〇年代風とかって。それはいいんですが、当時はそれが必然だった背景があったはずなのに、それを無視して見た目だけ切り取るから気持ち悪い。

石:それ、なんとなくわかります。

原:だいたい3年前にファッショントレンドって決まるんです。「こんな色が流行ります」とかって。そして3年後それが合ってたかどうか、ファッション業界は一切振り返らない。競馬新聞でさえ月曜に振り返るのに 笑。

石:それに対してALL YOURSは、クラファンを通して情報を得ながら、今必要な2020年代風の洋服=インターネット時代の洋服を提供したわけですね。

原:僕らは洋服をつくった後もちょっとずつアップデートしてますしね。スマホやOSと同じ感覚です。

石:それを聞くと、以前の木村さんのインタビューで「商品開発にアジャイル*1 を取り入れてる」という話がありましたが、まさにIT開発のスタイルが洋服作りに反映されている感じがしますね。
*1 アジャイル...『すばやい』『俊敏な』という意味で、短い開発期間単位を採用することで、リスクを最小化しようとする開発手法の一つ。

原:これも商品のユーザーが居て、そことの風通しがよくないと細かいアップデートができない。そのツールがクラファンだったりSNSだったりするわけです。何かを提供したらそこに賛否が生まれるわけで。僕らにとっては文句も必要なんです。

木:誰もやり方を教えてくれなかったので、クラファンもやりながら学んでいきましたね。だって当時は周りにクラファンやったことある人、誰もいなかったし 笑

原:だから1回目はプラットフォーム側の担当から提供される過去の成功事例を参考にしました。でも徐々に自分達のやり方に変わっていきましたね。当時の担当から「動画を入れた方がいい」って言われたけど、やってくうちに「要らないよね」ってなった。多分あれ、海外の成功した事例に動画が多かったからそう言ってただけ。

石:そういえばお2人にはIID 世田谷ものづくり学校のクラウドファンディング実践ワークショップ「世田谷クラウドファンディング学校」にも登壇していただきましたが、あの説得力は実際の自分達の経験に基づいているからなんですね。

木:それは確かにそうかも。

ブランドが存続するために必要なこと

石:今日一番聞きたいのは、24ヶ月連続クラファン以降の話です。現代はいろいろな意味で過渡期です。そんな中、ALL YOURSさんは今何を考えていて、これからどこに向かおうとしているのか。

原:それは今回出したステイトメント「Switch Standard」がすべてを表していると思います。これ普段僕らが言っていたことを言い換えただけなんですけど。なんか今、世の中がムズムズしているというか、世の中が停滞している感じがありますよね。

石:たしかに変な空気はあります。

原:実はこれって今に始まったことじゃないと思っていて。僕は常に世の中に対して、商品で逆張りをしているんです。そういうことを感じている人って、おそらく沢山いるはず。

石:そうなんでしょうか?

原:図らずしもこのタイミングでのステイトメントのリリースになりましたが、これって昨年の11月から計画してやろうと思ってたんです。たまたまこんなことになったので、急遽マスクのリリース挟んだりしましたけど。

木:最近やったこれらの動きは、いわゆる「ブランドアクション」って言われるものなんです。かっこいい写真を撮って純広を出すのがブランドじゃなくて、ブランド自体が何かしら社会にアクションを起こすことでブランドとして認知されていく。自分たちはそういうことをやっているんだなと、周囲から言われて気づきました。
企業とかブランドが社会で営利活動をする際には、そこに支持があるからやれるわけです。じゃあ何をもって支持してくれるんだろう、と考えると、新しいことにチャレンジするとか、何かに対して違和感があるから変えていくとか、そういう姿勢に共感してくれる人が多い。だから僕らはメッセージ性を強くしている。あとブランドは社会への批評として成り立たないといけないと思っていて。ブランドとして独立性を保つには批評軸が必要。たとえばマスクの転売ヤーを批判するんだったら、自分で作ればいいじゃん、ってことなんです。

石:批評っていうと一歩引いた客観的なイメージがあるんですが、ALL YOURSのスタイルはそれとはまったく違いますね。

木:言論で批評するのとは違って、アクションで批評するってこと。「キテテコマスク」はその一貫で企画したんですが、僕たちの行動によってマスクを作り出す人が少数だけど出てきた。
何が言いたいかというと、マスクの場合は、完全にみんなが供給先に依存していたわけです。その依存先が急になくなった時に買い占めが起こった。つまり「Switch Standard」っていうのは、いろんな人に行動を促す僕たちのアクション。自分たちの行動の軸が支持になって、僕たちの営利活動が続く、という考え方です。

石:そういう考え方って、創業の頃にはすでにあったんでしょうか? 創業の頃のALL YOURSの軸は、既存のファッション業界に対するアンチテーゼ的なイメージが強かったのですが。

木:最初はそう思ってたんですが、最近はあまりそういうアンチ的なことは全然思ってない。
そういえば僕も原さんも音楽がある程度好きなんですが、ビートルズは社会批評として完全に成り立ってる。パンクロックもBOØWYもそう。

原:ぼくのビジネスモデルのヒントはBOØWYかも 笑

石:二人は音楽からもインスピレーションを受けているんですね。

原:彼らは歌ったらいけない歌も歌っているわけだけど、そこに共鳴する人も出てくるわけで。

石:なるほど。そういう意味でALL YOURSのやりたい方向性として社会批評的な軸があると。

木:というよりは、大げさに言うと社会批評軸のないブランドは存続しなくなると思ってます。別に社会批評がしたいわけではなく、今ある現象に対して自分たちはどうスタンスをとるのか、そういことを示したい。

石:なるほど。ブランドを存続させるために批評軸が必要ということですね。

木:今回のコロナの件でもわかりますよね、アクションが早い会社と何もしない会社。

石:たしかに。

木:今の時代、もう社会に対して無関心ではいられないわけですよ。社会補償も十分じゃないし。そんな中でどう評価や支持を勝ち取ればいいのか? たとえば何も意見しない政治家は当選しない。当選したら支持基盤との約束を果たす為に必死に活動する。企業も徐々にそうなっていくはず。

石:たしかに木村さんのたとえ話はわかりやすいです。最後になりますが、直近でやっていきたいことを具体的に教えてもらえますか?

木:最近僕たちが出したステイトメント「Switch Standard」にも書いてあるんですが、性別や身体差にもとづいた規格からはみ出しちゃう人達に対応する服を作っていきたい。そういう洋服にある当たり前を変えたいんです。


石:既存の大量生産の服では対応できなかった部分ですね。

原:買いたい服を買えない人たちって相当いると思うんですよ。ほんとはこのブランドで買いたいのに、自分の体に合う服がないとか。スポーツ選手とか太った人とか、なんかダサくなっちゃうのはそのせいなんです。そういうことに対応するのが2020年のぼくらの仕事だと思ってます。

石:それって効率面とか、利益面から考えるとけっこう大変じゃないんでしょうか?

木:でも逆にぼくらは型数をめちゃくちゃ絞ってるから。一方でサイズがS・Mしかないけど、型数がめちゃくちゃあるブランドもある。効率化をどこでやるかということだと思いますよ。

原:(二人の後ろにずらっとかかっている服を指して) 実はここからここまで全部1つの商品ですから。 色を変えたりしているだけで。だから大量に同じ生地を発注できることで、いい材料を安く買えるっていうメリットもあります。

石:なるほど。どの角度から効率化をするか、という選択肢がいろいろあるということですね。 あらためてALL YOURSというブランドの本質を知った気がします。

ALL YOURSと世田谷

石:更にもう一つだけ質問を。この取材には「世田谷という場所での創業」の実際をレポートするという裏テーマもあるのですが、この池尻大橋という場所を選んだ経緯を教えて下さい。

木:ショッピングエリアじゃない場所、ということはずっと思ってました。普通の服がコンセプトなので。あまりテンションあげて買うような服じゃないですし 笑

石:たしかにALL YOURSの店舗が青山にある感じはしないですね 笑

木:あとは生活がある地域で勝負したいな、という思いもあったり。あとオンラインがメインだしあまり地価が高いところは避けたいとか。あれ、なんかつまんない答えになってる? 笑

原:以前は原宿のめちゃくちゃいい場所で毎週末POPUPストアをやってた。もちろん沢山人は来るんですが、その分もう二度と会えないような人の接客もしなきゃならない。

木:長くつきあえる人が来る場所がいいなと。

原:その後、商品を直接見たい人達の為に池尻の「レインボー倉庫」というシェアスペースに2年間店を構えてました。「面白いやつらが沢山いる」って聞いて偵察に行ったのがきっかけで。その後の移転先は三茶を検討してたんですが、そこは部分的にしか借りられなかったんです。単なる店や事務所じゃなく、複合的なベースキャンプみたいな場所にしたかったんですよね。結局池尻大橋のこの建物が丸々一棟借りられるということで、ここに店舗を移転しました。

石:ちなみにこの場所にはしばらく落ち着くつもりですか?

原:できればそのうち事業拡大して移転したいですね。

石:やはり成長しないと意味がない?

原:というより、やっぱり会社は大きくなっていかないと人の役に立ってないってことですから。まあそういう物件がこの界隈にあればですけどね。

石:その際にはIID 世田谷ものづくり学校もぜひ検討してください 笑

原:相談しにいきます 笑

▲代表2人と株式会社ALL YOURSのスタッフの皆さん。

取材を終えて

代表2人の「言葉の殴り合い」から出てくる芯のある言葉が、この「ALL YOURS」というブランドの方向性を常に羅針盤のように指し示していることをあらためて知りました。

実は今回敢えて「取材は代表2人揃っている時に」という要望を出させてもらっていました。多忙なお2人に対して申し訳ない気持ちもあったのですが、取材後の今、その選択をして正しかったと思っています。 「Switch Standard」という新たなステイトメントを出したばかりの彼らが、世の中の洋服の「あたりまえ」をどう変えていくのか、今後も注目していきたいと思います。

ALL YOURS STORE(直営店)

〒154-0001
東京都世田谷区池尻2-15-8 1F
TEL:03-6413-8455
営業日:水・木・金 15:00〜21:00 / 土・日・祝 12:00〜20:00
店休日:月・火
最寄り駅:東急田園都市線 池尻大橋駅東口出口から徒歩約7分

※2020年4月現在、店舗は臨時休業中です。今後の営業日、時間については直接お問い合わせください。

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